当日乗った列車は2両編成で、双方にFREESPOTが設置されていました。車内は一部ロングシート(大都市の通勤電車でおなじみの席配列)ですが、殆どはクロスシート(ローカル線の標準的な席配列)です。席自体はピンク色で、別名「フラワー長井線」の雰囲気を醸し出しています。ロングシートの窓に控えめですがFREESPOTのステッカーが表示されており、無線アクセスポイントは運転席上部の箱(沿線の工業高校の制作だそうです)に設置されています。
今回の列車内FREESPOTは、山形鉄道の本社のある長井市の街づくり民間組織「長井村塾」(市内にFREESPOTを積極的に導入されています)をはじめとする有志の働きかけで、沿線の企業がスポンサーとなって、運営されています。スポンサー企業のステッカーが列車の入り口に表示されています。山形鉄道では「Netトレイン」と愛称をつけています。
早速列車に乗り込んだ私はPCを立ち上げて、無線でネット接続をしてみました。「Netトレイン」の存在自体は未だ地元でもあまり知られていないらしく、途中から通学の高校生がいっぱい乗り込んできましたが、みんな携帯でメールをしたりして、PCを広げている私を「何しているんだこのオヤジ」的な、好意的な眼差しを送ってくれました。それにもめげずネットに接続すると、列車から地上局まではPHSで接続しているためか、ブロードバンドを使った「さくさく」感はありませんでしたが、それでも動いている列車の中でインターネットに接続出来る感激は代えがたいものでした。メールも接続してみましたが、問題なく日頃使っているプロバイダー(ODN)で接続でき、思わず友達に「今列車の中でネットしているよ」というメールを打ってしまいました。因みにスピードは下りで63kbpsでした。(タダでネットに接続出来るんだから文句は言いません!!)
山形鉄道では、沿線の企業に新幹線で出張するビジネスマンに鉄道をもっと利用してもらうきっかけに、また観光客に観光情報を提供する場として、FREESPOTのポップアップ画面で沿線情報を提供しています。ゆくゆくは地元の利用者にも使ってもらいたいとのことです。特に沿線の中心都市である長井市では、列車から降りても町中で無線インターネットが出来る環境を目指し、地元の有志が積極的にFREESPOTを導入しています。FREESPOTで町おこしという、新しいFREESPOTの活用が展開されそうです。
ということで、いかにも日本の「田舎」といった列車からの景色を眺めながら、ハイテクなFREESPOTとの組み合わせは、一見ミスマッチなようですが、無線LANの新たな活用方法を提案してくれるモデルとなってくれるでしょう。皆さんも一見の価値ありです。
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